とみた内科循環器内科
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)とは、 糸球体濾過量(GFR)で表される腎機能の低下が3カ月以上あるか、もしくは腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3カ月以上)に持続する状態をさします。
腎臓障害を示す所見として、(1) 蛋白尿などの尿の異常、(2)片腎や 多発性嚢胞腎、 腎結石などの画像所見異常、(3)腎機能障害などを示す血液検査異常、(4)異常病理所見があげられています。CKDの重要な点は、末期腎不全 透析療法へと進行することと、CKDの病期が進むほど、CVD(心血管疾患)の発症リスクが上昇することです。
糸球体濾過量(GFR)は性別、年齢と血清クレアチニン値から換算されます。従って、尿検査と血清クレアチニンから、おおよそ病気であるかの診断がつきます。尿蛋白定性で+(1+)以上の場合30-99mg/dl程度の尿蛋白が出ていると考えられます。
表1 CKDの定義
随時尿で陽性の場合、早朝尿との比較により運動の影響を除外できます。早朝尿で蛋白陰性なら起立性、運動性蛋白尿の可能性が高くなります。繰り返す検尿で蛋白陽性の場合は、尿蛋白定量を実施します。24時間蓄尿を用いた全尿検査が望ましいですが、入院が必要となるため、一般的には早朝尿の蛋白/クレアチニン比(g蛋白/gクレアチニン)をみます。これは尿の濃縮の程度を補正するためで、1日尿蛋白排泄量とよく相関します。
GER値と蛋白/クレアチニン比でCKDの重症度分類がなされます。
図1 CKDの重症度分類
CKDのステージ分類を踏まえ、CKDの原因を調べ、治療を選択していくことになります。
一般療法(生活習慣病・メタボリックシンドロームの是正、感染予防、運動など)、食事療法(減塩・低蛋白食、エネルギーコントロール食など)、薬物療法(レニン・アンジオテンシン系阻害薬、カルシウム拮抗薬、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、血糖降下薬など)、手術の中から選択されます。
© 2017.7.10. とみた内科循環器科