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© 2017.7.10. とみた内科循環器科

循環器疾患

高血圧

概要

高血圧は多くは無症状ですが、脳卒中や心筋梗塞といった心血管病の最大の危険因子です。従って、高血圧の治療の目的は、高血圧によってもたらされる心血管病の発症、進展、再発を抑制し、死亡を減少させることです。

図1. 血圧と循環器疾患死亡の相対リスク

血圧と疾患リスク

​ 図1はNIPPON DATA80という疫学調査において、血圧と循環器疾患の死亡の相対リスクを調べたものですが、血圧が上昇するに従って相対リスクも上昇していることが分かります。最上段は全年齢の結果ですが、収縮期血圧が120 mmHg以下の人達に比べると、140-159 mmHgでは3倍に、180 mmHg以上では5倍以上に循環器疾患の死亡リスクは上昇しています。中段は年齢が30-64歳、下段は75歳以上の結果ですが、どの年齢でも血圧の上昇に従って、循環器疾患死亡のリスクは高まっていますが、年齢が若い人ほど、血圧上昇による相対リスクの上昇が著しいのが分かります。

このような結果も加味されて、高血圧治療のガイドラインでは、高圧目標が、若年者、中年者は、診察時血圧130/85 mmHg未満、高齢者は140/90 mmHg未満と年齢によって異なる降圧目標が設定されています。​

​高血圧の原因

​ 高血圧の原因ですが、まず、一般的に高血圧といっているのは、”本態性高血圧”といって原因を特定できないものをさしています。特定の原因による高血圧を”2次性高血圧”といい、腎実質性高血圧、腎血管性高血圧、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群などがあげられます。

原因の特定できない”本態性高血圧”の原因を述べるのも変な話ですが、​単一の要素ではなく、遺伝的要因、環境要因などが関与していると考えられます(図2)。遺伝的要因は、両親や兄弟などに高血圧の人がいることをさしますが、こういった家族歴があると、ない人に比べて、3.5倍の高血圧発症のリスクが

高いことが知られています。血圧に関する遺伝子多型も数多く報告されています。高血圧に対する遺伝的要因の寄与度は30-70%程度とされています。

​環境要因としては、塩分過剰摂取、肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレス、睡眠障害などが知られています。高血圧の治療をしていく上で、是正可能な環境因子を見極めて改善していくことが重要と思われます。

図2. 高血圧の原因

​検診などで高血圧を指摘されて、はじめて外来を受診された患者さんの場合、高血圧と指摘されたのが今回はじめてなのか、家庭血圧を測定しているのか、

指摘された高血圧がどの程度なのか、高血圧の家族歴があるか、高血圧以外に治療中の病気や過去にかかった病気があるか、運動や食事、喫煙、飲酒などの生活習慣などをお伺いしてから治療方針を決めていくことになります。

この過程で、合併症の確認のために、血液検査、尿検査、心電図、胸部X線検査などをお勧めすることもあります。また、上述しました、2次性高血圧の除外が必要と判断された場合には、ホルモンの血液検査や腹部エコーなどの検査を行うこともあります。

​糖尿病、慢性腎臓病、心血管病、メタボリック症候群などを合併している場合には、より早期から薬物治療を開始したほうがよいと判断されます。

図3. 初診時の高血圧の管理計画

図4. 診察時血圧に基づいた心血管病リスクの層別化

​不整脈

心臓は昼も夜も絶え間なく一定のリズムで収縮していますが、このリズムは正常は心臓の入口にある洞結節という場所で作られた電気が心臓に伝わり、心臓が収縮することで起こります。しかし、洞結節で作られた電気は心臓の筋肉全体に直接伝わるのではなく、刺激伝導系という電気を通す道を介して心臓の筋肉に伝えられます(図1)。洞結節で電気が発生しなかったり、別の場所で刺激が起こったり、伝導に異常が起こると、心臓は規則正しい収縮ができなくなります。これが不整脈です。

​不整脈は大きく、徐脈性、頻脈性、期外収縮に分類されます。

徐脈性不整脈

脈が遅くなることを徐脈といいます。徐脈を引き起こす不整脈の代表は、洞不全症候群房室ブロックです。洞不全症候群は上述した洞結節の働きが悪くなり、通常より遅い速度でしか電気を起こせなくなったり、ひどくなると、電気を起こせなくなる病気です。房室ブロックは刺激伝導系の途中にある、もう1つの関所である房室結節かそれ以降の刺激伝導系が障害させることで、洞結節からの電気が心室に伝わらなくなり起こる病気です。高度の徐脈になると心不全や失神などが起こります。虚血性心疾患や薬剤性などの2次性でない場合で、症状により生活に支障がでている場合には永久ペースメーカ植え込みの適応となります。

頻脈性不整脈

正常な働きをしている心臓でも、運動や興奮などにより交感神経を介して心拍数が増加し、頻脈になることはありますが、正常と異なる場所から起きた刺激が刺激伝導系とは異なる回路を形成して次々に電気刺激を起こし、心臓が頻回に収縮を起こす不整脈です(図2)。心臓には前室にあたる心房と、心臓の収縮の8-9割を担う心室がありますが、心室性の頻脈性不整脈である、心室頻拍心室細動は命に直結する不整脈です。このような不整脈は早急に原因の精査と治療が必要になります。

非心室性(上室性)不整脈の代表は心房細動​(図2)と発作性上室性頻拍です。心房細動は年齢とともに増加する不整脈で、動悸や胸部不快感といった自覚症状だけでなく、脳梗塞や心不全の原因となるため、症状が軽かったり、なくても治療が必要かを見極める必要がある不整脈です。発作性上室性頻拍は、命に直結することは少ない疾患ですが、発作時の心拍数が極端に早い例は、失神などの原因にもなり、発作の頻度や症状により、カテーテルアブレーションによる根治術が勧められます。

図1. 刺激伝導系

図2. 頻脈性不整脈

図3. 期外収縮

​冠動脈疾患・虚血性心疾患

冠動脈とは、心臓を栄養する血管(動脈)のことです。冠動脈疾患は主に冠動脈に動脈硬化などにより、狭窄や閉塞が起こることにより生じます。冠動脈は心臓を冠のように覆う動脈で、主に右冠動脈、左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝の3本から成ります。

労作性狭心症

心臓を栄養している血管を冠動脈といい、冠動脈が動脈硬化によって狭くなることで起こる狭心症です。階段の上り下りや、通常よりも激しい運動をしたときなどに起こります。より重症な不安定狭心症や急性心筋梗塞との鑑別や進行の阻止も重要です。

冠攣縮性狭心症

労作性狭心症が運動などの動作をした時に起こるのに対し、冠攣縮性狭心症は、就寝中などの安静時にも起こるため、安静狭心症と呼ばれることもあります。「冠攣縮」とは、冠動脈のけいれんのことで、瞬間的に起こるため、病院で心電図検査を行ってもほとんど見つかりません。しかし、狭心症の6割に冠攣縮が関与しているといわれ、突然死も起こす恐ろしい病気であり、さらに日本人の冠攣縮性狭冠攣縮性狭心症心症は欧米人に比べて約3倍多いといわれていることからも、早期発見、早期治療が大切です。喫煙は大きな危険因子であることが分かっていますので、まずは禁煙を心がけてください。そのほか、不眠、過労、ストレス、アルコールの飲みすぎなども発作の誘因となります。

微小血管狭心症

微小血管狭心症は、弁膜症や心筋症などの心臓の病気がない方で、直径が100μm以下の微小な冠動脈の収縮亢進のために心筋虚血が一時的に起こることによって胸痛が起こります。その70%は女性が占めるといわれています。
発症する年齢は30代半ばから60代半ばで、最も多いのは40代後半から50代前半の女性です。この時期はエストロゲンが減少し始める更年期障害の時期とも重なっています。冠攣縮狭心症と同じように喫煙、寒冷、精神的ストレスなどが誘因となることも知られています。はっきりとした原因解明には至っていませんが、女性ホルモンが関与していると考えられています。

​糖尿病

糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。

糖尿病の主要な病型は1型と2型に分けられます。


1型糖尿病

膵臓のβ細胞が壊れてしまい、まったくインスリンが分泌されなくなってしまう1型糖尿病。インスリンを体外から補給しないと生命に関わるため、インスリン注射を欠かしてはなりません。

2型糖尿病

遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満・運動不足・ストレス、加齢などをきっかけに発病します。インスリンの分泌の低下や細胞にあるインスリン受容体の異常によるインスリン抵抗性などが原因tなると考えられています。

診断基準

①早朝空腹時血糖 126 mg/dl以上

②75gOGTTで2時間値 200 mg/dl以上

③随時血糖値 200 mg/dl以上

④HbA1c 6.5%以上

①~④のいずれかが確認された場合には「糖尿病型」と診断します。

別の日に行なった検査で、再度、糖尿病型が確認できれば糖尿病と診断します。ただし、2回のうち1回は血糖による基準を満たすことが必要で、

HbA1c のみでの確定診断はできません。同日でも血糖値とHbA1cの両方が基準を満たす場合には糖尿病と診断できます。また、口渇、多飲、多尿

など糖尿病の典型的症状を伴って、血糖値が上記基準を満たす場合も同日、糖尿病と診断できます。

⑤早朝空腹時血糖 110 mg/dl未満

75gOGTTで2時間値 140 mg/dl未満

​⑤、⑥の血糖値が確認された場合は正常型と診断されます。

糖尿病の診断基準

健康診断などの際には、食事をとらずに医療機関を受診し、空腹時の状態で​血液検査をすることが多いと思います。

​糖尿病の診断には、空腹時血糖と同様に食後血糖(随時血糖ともいいます)も重要です。Decoda研究という調査では、空腹時の血糖が正常でも、糖尿病と診断された患者さんの割合が実に45%にも及んだことが示されています。

​当院では上記のような理由から、食事をとった上で採血を行うこともお勧めしています。

高コレステロール血症・脂質異常症

高コレステロール血症・高脂血症・脂質異常症は血液中の脂質成分が異常値となっている状態をさします。脂質成分とは、主に、悪玉コレステロールである、LDLコレステロール、善玉コレステロールであるHDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)をさします。脂質異常症は動脈硬化を引きおこし、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながります。脂質異常症の原因としては、生活習慣の乱れ(過食・運動不足・喫煙)や家族性(遺伝子異常)、体質などがあります。HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満でも、心血管病のリスクとなるため、脂質異常症として管理が必要とされています。

​健診などでLDLコレステロールや中性脂肪などの異常を指摘される方は少なくないと思います。そのような方が皆、画一的な治療が必要になるわけではありません。脂質の異常の原因が生活習慣のみだれから来るのか、遺伝的背景によるか、などをふまえた上で考える必要があります。また、LDLコレステロールの数値がどれくらいならば治療を行うかは、脂質の数値のみではなく、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病など他に治療をしている疾患があるかどうかにより変わります。図1に脂質治療症のガイドラインを示します。合併症の有無、年齢、性別などから、心血管病のリスクをカテゴリー表に照らして決定し、低リスクであれば、LDLコレステロールは160mg/dL未満に、中リスクであれば140mg/dL未満に、高リスクであれば120mg/dl未満に治療することが望ましいとされています。

図1 脂質異常症の治療ガイドライン

高尿酸血症、痛風

プリン体の分解産物が尿酸です。 体のなかでつくられた尿酸のうち、約80%は腎臓から尿のなかに溶けた状態で排泄されますが、この排泄量が少なかったり、体のなかで尿酸がつくられすぎて排泄が間に合わなかったり、あるいはその両方が起こると血液中に尿酸が増えてきます。このように、血液中の尿酸が正常値を超えて高くなった状態が高尿酸血症です。
高尿酸血症の状態がある程度長期化すると、尿酸は尿酸塩という結晶の形になって、関節や腎臓などに析出してくるようになります。このように高尿酸血症を基礎として、尿酸塩が関節に沈着することによって急性の関節炎を起こす病気が痛風です。
食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加により、誰もが高尿酸血症や痛風になる可能性があります。美食よりもむしろ過食が問題であり、高カロリー食や肥満は尿酸の産生量を増やします。また、アルコールや果物類(果糖)の過剰摂取、ストレス、過度の運動も尿酸を上げるようにはたらきます。

図1は尿酸値と痛風関節炎の累積発症率との関係を調べたものです。尿酸値が7.0-7.9では5年間の累積発症率は約10%、8.0-8.9では約30%、9.0以上

​では60%以上となります。また、高尿酸血症は最近では動脈硬化、心筋梗塞、慢性腎臓病などの危険因子であることも明らかとなり(図2)、このような合併症の予防の観点からも治療が必要になることもあります。高尿酸血症治療のガイドラインでも、尿酸値の値、合併症の有無などにより、薬物治療の開始目標を定めています(図3)。

図1 尿酸値と痛風関節炎の累積発症率

図2 高尿酸血症と合併症

J Rheumatol 27: 1501-1505,2000

図3 高尿酸血症の治療ガイドライン

​慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)とは、 糸球体濾過量(GFR)で表される腎機能の低下が3カ月以上あるか、もしくは腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3カ月以上)に持続する状態をさします。

腎臓障害を示す所見として、(1) 蛋白尿などの尿の異常、(2)片腎や 多発性嚢胞腎、 腎結石などの画像所見異常、(3)腎機能障害などを示す血液検査異常、(4)異常病理所見があげられています。CKDの重要な点は、末期腎不全 透析療法へと進行することと、CKDの病期が進むほど、CVD(心血管疾患)の発症リスクが上昇することです。

糸球体濾過量(GFR)は性別、年齢と血清クレアチニン値から換算されます。従って、尿検査と血清クレアチニンから、おおよそ病気であるかの診断がつきます。尿蛋白定性で+(1+)以上の場合30-99mg/dl程度の尿蛋白が出ていると考えられます。

​表1 CKDの定義

随時尿で陽性の場合、早朝尿との比較により運動の影響を除外できます。早朝尿で蛋白陰性なら起立性、運動性蛋白尿の可能性が高くなります。繰り返す検尿で蛋白陽性の場合は、尿蛋白定量を実施します。24時間蓄尿を用いた全尿検査が望ましいですが、入院が必要となるため、一般的には早朝尿の蛋白/クレアチニン比(g蛋白/gクレアチニン)をみます。これは尿の濃縮の程度を補正するためで、1日尿蛋白排泄量とよく相関します。
GER値と蛋白/クレアチニン比でCKDの重症度分類がなされます。

​図1 CKDの重症度分類

CKDのステージ分類を踏まえ、CKDの原因を調べ、治療を選択していくことになります。
一般療法(生活習慣病・メタボリックシンドロームの是正、感染予防、運動など)、食事療法(減塩・低蛋白食、エネルギーコントロール食など)、薬物療法(レニン・アンジオテンシン系阻害薬、カルシウム拮抗薬、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、血糖降下薬など)、手術の中から選択されます。

​睡眠時無呼吸症候群

日頃、眠気が強いと感じたり、いびきや無呼吸を指摘されたことはありませんか?それは睡眠時無呼吸症候群かもしれません。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている時に異常な呼吸や呼吸の停止が現れ、知らない内に身体に様々な障害を及ぼす病気です。

睡眠時無呼吸症候群を適切な治療をせずに放置しておくと、高血圧症、糖尿病、高脂血症などの悪化から動脈硬化が進行したり、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの重篤な病気を引き起こす可能性が知られています。また、肥満者に多いことからメタボリックシンドロームとの関連も指摘されています。 

睡眠時無呼吸症候群は肥満や顎の骨格などの原因で気道が睡眠中に閉塞する閉塞型と脳が原因で起こる中枢型、この2つが混在する混合型に分かれます。閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者さんを10年間追跡した欧州の観察結果によれば、重症(無呼吸低酸素指標>30 1時間あたり10秒以上の無呼吸が30回以上ある)の睡眠時無呼吸症候群の患者(赤線)では、心血管疾患の罹患率やそれら疾患による死亡率が有意に高く、CPAPの治療を行うことにより有意に改善することが示されました(図1. Lancet,2005, 365, p1046-1053)。

​図1 無呼吸低呼吸指数(AHI)の重症度と心血管疾患罹患率、死亡率の関係

​AHI(回/時間)

​AHI(回/時間)

睡眠時無呼吸症候群の初期診断(スクリーニング)として自宅でも簡単に行える簡易式診断器があります(保険適応)。
機械をお貸しして自宅で夜間装着して頂き検査します。
この検査結果で重症の睡眠時無呼吸を認めた場合はCPAPという持続陽圧で呼吸を補助する治療を、中等度の睡眠時無呼吸が疑われる場合
には、一泊入院をしてポリソムノグラフィという検査をお勧めします。